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大阪の北のほうにあるディープタウン十三(じゅうそう)。梅田からすぐ川向こうという立地もそうだが、ゲスなこの町が好きでなにげに25年レベルで通っている。写真1枚目のこちらは西口だが、すぐ駅のとなりから飲み屋街が火災で焼け落ちていて、そのために焼失した空き地もありまだ復興が終わっていない。

十三に来るようになったのはもともとは出張仕事がらみで若い頃に立ち寄ったヘルスが最初なのだが、この街、旅情があるのだ。ファーストインパクトは街の猥雑さだけではなかった。
いきなりそういう場所でヤンキーテイストながらワンダーフォーゲルとパトラッシュの何かを反復して歌い始めるようなよくわからなさ、最後は「がんばりや」で送り出す(それは風情があっていいのだが)、いま思えばなにかやってそうなくらいブチキレた嬢にかなり心奪われたことがある。出張者にとってそうそう出勤スケジュールが合うわけもなく、再度会うことはできず、気がつくとそのお店も廃業しており新聞紙が丸まって風で流れていたのを覚えている。廃墟で新聞紙が丸まって風で吹かれてるのを見たのははじめてだったが、ほんとにあるんだな、と思った。十三らしい。もう嬢の名前すら覚えていないが。

それ以外でも若かりしころの出張は、なんばの地下で謎の酔っぱらいお姉さんに抱きつかれ逆ナンパされたこともある。同行者がいたので断ったが、そんなこんなで大阪の女性は独特だなあという印象となっている。いまはまったく薄毛なのでそんなモテることもあり得ないが、あけすけな大阪自体の印象は悪くない。
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ところで十三といえば十三の露店商TOY魔人により生まれ、大阪じゅうで人気となり一時期原宿でも大ヒットしたサザエさんとバカボンの合体キャラのサザエボンが量産をきっかけに訴えられる事件の名残で、商店街のサインキャラクターに一時期なっていた鉄腕波平も社会問題となり消されて久しい(写真west13の文字の下にうっすらとその姿を残している)が、その街が生んだ文化の遵法性のなさも十三の象徴であるというか。

あとから調べたらサザエボンは一説にはサイバーニュウニュウの関係の父親の人が権利みたいな説もあるのか。僕はかのバンド取材についてったことがあるのと、外部番組プロデューサーの持ち逃げで昨年打ち切られたテレビ埼玉の「俺たちバカ社長」が好きで、打ち切られた回の次の出演がニュウニュウだったのを知っているので、意外と身近なところにつながって驚いた。

かつては十三は歓楽街として栄華を極め、キャバレーや風俗が立ち並ぶ、ちょっと怖い街で、そしてその流れで駅付近に安い飲み屋が充実していた。東で言えば巣鴨や大塚、赤羽駅あたりのイメージではあるのだが、火事で焼けて以降、それら安くてうまい飲み屋の名店が分散してしまったのは残念なところ。ただ酒飲みとして、この街を再度訪れることになる。

いま、好きなスポットがある。駅前を東側にぬけアーケードが切れる手前左に、渋い角打ち(酒屋を利用した酒場)があるのだ。こちら、競馬みながらおっちゃんらが黙って呑んでたりするのがいいのだが、先月再訪したときは安く飲みたい若者グループ2組くらいの流入で、おっちゃんが困ってる感じがありありとしていた。大阪はおっちゃんの居場所が東京と違って一杯あるのがいいのだ。荒らさないでほしいなあ、と思う次第である。といってもこちらも余所者の酔客であるのだが。